Behavior-based Robotics 2018 2 18

書名 ディープラーニングがロボットを変える
著者 尾形 哲也  日刊工業新聞社

「設計者がすべてを変える」
 たとえば、掃除ロボットを作るとします。
掃除ロボットの機械的な部分は、すぐに作ることができるでしょう。
 しかし、掃除ロボットの頭脳は、
どのようにプログラミングするのか、それが問題です。
 まず、居間や台所の見取り図をプログラミングするか。
しかし、それでは、掃除ロボットは、その家でしか使えない。
よその家に持って行ったら、使い物にならない。
 それでは、掃除ロボットに超小型のレーダーを搭載して、
家具の位置を測定しながら掃除をするのか。
しかし、それでは、掃除ロボットが大きくなり、高価なものになります。
 さあ、どうするか。
それならば、始めから掃除ロボットが掃除中に、
家具に衝突することを前提にすればよい。
 掃除ロボットは、家具に衝突するたびに学習して、
体験的に居間や台所の見取り図を作り出すかもしれません。
 「新入り」の掃除ロボットは、
あちこちに衝突して、掃除の効率が悪いが、
「古株」の掃除ロボットになると、実に効率が良い。
 ところで、知人から、こんな話を聞きました。
昔は、ジュースと言えば、瓶入りでしたが、
最近は、瓶に入ったジュースを見かけなくなりました。
 中学生の子供が、やたらとジュースを欲しがるので、
瓶入りのジュースと栓抜きを与えたら、
最初は、不思議そうに眺めていたそうですが、
あれこれ試しているうちに、
ついに栓抜きで瓶入りのジュースを開けてしまったそうです。
 もちろん、人間の頭脳には、
最初から、栓抜きの使い方は入っていません。
 それに、最近は、瓶入りのジュースを売っていませんので、
誰かが瓶入りのジュースを開ける光景を見たことがないはずです。
 しかし、ジュースが飲みたい。
そうなると、中学生の子供は、
栓抜きという「見たことも使ったこともない道具」を使って、
あれこれ試しているうちに、ついに瓶入りのジュースを開けてしまった。
これで、栓抜きの使い方を学習したことになります。
(小学生以下の子供は、栓抜きで怪我をする恐れがあります)
 家事や介護を手伝うロボットを作る時に、
あらゆる事態を想定してプログラミングするのは不可能です。
そこで、ロボットが想定外の事態を体験するたびに、
それを学習して、応用力のあるロボットになってほしいものです。
 もちろん、市販する時は、
事前に工場で「大量に学習させた」学習済みのロボットを販売するはずです。
 昔、飲んだ、瓶入りのコカ・コーラ。
ロボットに「これを開けて」と頼むと、
最初は、苦戦するかもしれませんが、
学習することによって、器用に開けることができるようになるかもしれません。





























































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